2010.10.22

昨日、モーグの管轄である四谷税務署で、新設法人向けの税務関連説明会を開くというので出席してきました。今のところ当社は顧問契約している税理士もいないので、こういう機会があればできるだけ参加するようにしています。
今回は中小企業向けのごく初歩的な税務の説明(というか大半は節税対策の話!)でしたが、今後、事業を始めようと思っている方には多少参考になるかもしれないので、ここにまとめておきます。
おそらくすでに会社経営を始めている方や経理、財務に関わっておられる方に参考になる話はないでしょう。また、これから書くことは資本金が1,000万円に満たない中小企業向けの話が多いので必ずしも全ての会社にあてはまるわけではないことを最初にお断りしておきます。

まず表題の「税務は会社のリード役」というのは、説明会の冒頭で上映された30分のビデオで取り上げられていたスローガン。会社設立後、最初はいろんな優遇措置を受けることがあったとしても、いずれは税金をきっちり納めることが会社成長の証である―というお話……。まったくそのとおりだと思いますし、早く社会への還元を実現したいものです、はい。

説明会は税理士の方をお招きして講義形式でおこなわれました。
まずは会社が納めることになる税金の基本的な話。会社が払う税金には法人税と事業税、住民税があり、中小企業は「儲けのおよそ30%程度」を納めることになります(これとは別に消費税があります)。
この「儲け」というやつは、実は会計上と税法上で定義が異なっていて、使う用語も違います。そしてこの違いを理解することが、税務を適正に処理する上では非常に大切です。
説明しましょう。会計上では「売上」から「費用」を差し引いた儲けを「利益(または収益)」と呼びます。一方、税法上では売上に相当するものが「益金」、費用は「損金」、益金から損金を差し引いた儲けのことを「所得」と呼んでいます。そして大事なことは、課税の根拠となる数字は「所得」であり、「利益」は必ずしも「所得」とイコールでないということです。

<会計上>  売上 ― 費用 = 利益
<税法上>  益金 ― 損金 = 所得 
   ★税金の根拠となるのは所得のみ
   ★利益≠所得

なぜイコールでないかというと、会計上、費用として計上したものであっても税法上は損金として『認められない』ことがあるからです。たとえば取引先との飲食やゴルフプレー代といったいわゆる交際費や、私的な利用が目的と思われる高額な買い物(衣装代とか車等)は費用計上していたとしても税務署は損金として認めません。そうなると最終的には利益より所得の方が高くなるわけです。
たとえばある会社が、その年度の利益が100万円、税金は(単純化して書くと)30万円のつもりでいると、「この交際費の100万円は損金に含まれませんので御社の所得は200万円に増えます。税金は60万円納めてください」と税務署の方に指摘されるようなことが起こるのです。

税に関する基本的な定義と、上に書いたよくある話を聞いた後、説明会では節税対策の初歩的な話を聞くことができました。
ここでちょっと思ったこと。普通に考えれば税務署はできるだけたくさんの税金を集めたいでしょうに、節税についてこんな風に伝えてゆくことも彼らの重要な任務なのですね。「課税公平負担」の精神が根底にあるからなのでしょうが、きちんと認知させないまま余計に税金を納める会社があると不公平だし問題になるのでしょう。税務署の人間は税金を集めることしか考えていない(失礼!)と思っていた私にとって、この点はちょっとした驚きでした。

というわけでいくつかの節税対策です。
資本金1億円以下の会社で「青色申告」を事前に提出していれば、年間600万円までの交際費は90%まで費用に計上することができます。
年間600万円の交際費って今の我々には考えにくいですが、たとえば月10万円の交際費がかかったとして、9万円までは損金として認められ、1万円分だけ課税対象になるということです。その上限が年間600万円までということ。
念のため説明すると、青色申告というのは複式簿記で帳簿を作って納税することを税務署へ事前申告するもので、様々な節税効果があります。会社を設立したらすぐに手続きしておくべきですね。我々もすぐにやりました。
通常、新しい会社は初年度から黒字というのはなかなか難しいらしいのですが、この青色申告を出しておくと、赤字から黒字に転じた場合、過去の赤字分を相殺して税務申告できるというメリットがあります。たとえば最初の3期で合計100万円の赤字を出した後、4期目で200万円の所得があったときは、相殺して4期目の所得を100万円にすることができるのです。これはあなどれない節税効果です。

(……ここまで書いたところで、ちょっと長すぎることに気が付きました。
 以下は次回に続きます)

(文責: 廣島健吾)

本文とは関係ありませんが、会社にあるいただきもののポピアリー。
親子仕様というのが泣かせます。