2011.12.24

もう今年もあとわずか。たまには経営に役立つことでも書こうと思います。
最近、僕の周りに独立して会社を起こそうとしている人が何人かいるので、そんな方たちに参考にしていただけるかなと思い、新しく起こした会社が人材雇用するときの助成金のことを書いてみます。

自己資金だけで会社を始めて最初に悩むことのひとつは、即戦力として働く社員をいかに確保してゆくかということでしょう。ことに我々のようにIT関連の仕事をしている場合、創業まもない頃は新人を採用して育てる時間も余力もないため、ある程度の技術や経験のある人材が必要になることが多い。とはいってもまだ資金も潤沢にはない(というかほとんどない)。去年、そんなことを考えていたときに、とある会計事務所から届いたDMに「助成金申請代行します」というのを見て、「そういうものがあるなら自分で調べて申請しよう」と一念発起し申し込みをしてみました。

中小企業への助成金は経済産業省や厚生労働省が実施している様々なものが存在しますが、我々が申請したのは労働局管轄の「中小企業基盤人材確保助成金」なるもの。おおまかに制度を説明します。

・資本金3億円未満の中小企業が申請可能
・専門的な知識や技術を有する基盤人材の雇用が対象
・対象者の賃金の一部として年間140万円を助成
・助成金は創業会社以外に新規事業を開始した会社も申請できる

140万円は助成金なのでもちろん返済の必要は無い。しかも1社につき最大5人まで助成は可能。ただし給付してもらうためにはいくつか条件があります。ちょっとまとめてみるとこんな感じです。

(1)対象者に年間350万円以上の賃金を支払っている
(2)会社の設備費に250万円以上かかっている
(3)対象となる人材を採用する前に必要書類を申請し受理されている
(4)知人や利害関係があった人の採用はNG
(5)各種法令に則った経営をしている
(6)助成金の給付は6か月の勤務ごとに、2回に分けておこなわれる
(7)創業後6か月以内に申請し、受理されてから1年以内に人材を採用しなければならない

(1)助成金140万円があると思えば年間350万円の賃金も安く感じられるでしょう。注意すべきは350万円に賞与は含まれないということ。通勤交通費は含むことができます。

(2)「250万円ルール」とよばれているもの。設備費の線引きが明確にあって、事務所賃貸の礼金と仲介手数料、毎月の家賃、デスクや椅子などの備品、パソコンは計上できる。計上できないのは敷金、パソコンのソフト(これはちょっと厳しかったー)。家賃は創業のタイミングから社員が6か月勤務した時点までの分をすべて計上できる。我々もなんとか250万円をクリア。

(3)この必要書類の準備はそれなりに面倒です。我々の場合、最終的にA4用紙で200ページ近いコピーを提出しました。とはいえここで社労士事務所やら会計事務所に頼むのは避けたいところ。せっかくの助成金の何割かを抜かれるなんて本当にもったいない。僕は会社を始めるにあたり、会計や人事労務関連は全部自分でやることに決めてやっているので(今のところ)、もちろん申請作業も面談も全部自分で済ませました。

(4)過去にフリーランスとして仕事をお願いした人とか以前勤めていた会社にいた同僚の採用はNG。労働局としては新しい雇用を創出することが目的なので、人材は縁故知人ではなく一般公募をして確保しなければならない。

(5)もちろん雇用保険と社会保険は社員が入社した日からきちんと加入していなくてはならない。法令順守はぬかりなくやっておかねばならないところで、たとえば36協定の届け出も必要。36協定なんて書くと「うちは残業代を払ってないけど大丈夫だろうか……」と心配される方もいるかもしれないがそこはケースバイケース。賃金のルールをきちんと定めて、雇用通知書で会社と本人が合意できていれば大丈夫。そのために賃金規則や就業規則をつくる必要はありません(社員10人以上の会社なら必要です)。

(6)実際に社員が6カ月の勤務を終えた後、給与台帳や勤務記録やらをまとめて提出し、約3か月後に半金の給付がありました。さらに6か月後、もう一度給付を受けられます。

(7)申し込みも採用も期限があります。いわば会社創業時だけのワンチャンス。

というわけで、いくつかやっかいな条件をクリアできれば、会社の屋台骨となる人材を資金が少ない創業当初から採用できるわけです。興味ある方は以下のリンクから詳細をご覧の上、活用してみては。

・厚生労働省 事業主の方への給付金のご案内
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/

・同 中小企業基盤人材確保助成金
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/chusyo_yatoi.html

我々もこの制度の恩恵を受けて今年は1名人材を採用することができました。
実は、今度は若い新しい人材を雇用して育てていきたいと考えています。会社の持続性というものは、人材を育ててゆけるかという点にかかっていると思うので、そろそろ次のフェーズに入りたいと思っているわけです。
近いうちに募集の告知も出しますので身近にWeb制作を志す若者がいる方、是非ご周知を!

(廣島)


今回のエントリーにふさわしい写真がなかったので本日の我が家のヘビーローテーションCD。
完全にメリークリスマスモード(笑)