2012.04.20

少し前に友人からもらった『小さなチーム、大きな仕事』という本が気に入って、何回か読み返している。

会社が小規模であったとしても組織にありがちな無駄なことを省いて生産性を上げれば、大きな仕事がなしとげられる。本書はそのための奥義を解き明かす。

著者であるジェイソン・フリードは、時間を浪費する長い会議、自己満足に陥るだけの無意味な残業、投資家からの資金援助、大金をはたいた大型プロモーション、これらを一刀両断にし、既成の枠にとらわれない新しい働き方=仕事観を提示している。

彼はWebベースのアプリケーションの開発で成功をおさめた「37シグナルズ」社の創業者。この本が出版された時点では、たった16人の社員で300万以上の顧客企業を抱えていたというのだから驚きだ。しかも社員達は8つの都市にちらばって普段はほとんど会わないという。

彼らは主にエンジニアで、いわゆるライフハッカー的な知識労働者だが、本書で提示されている働き方は技術者にしか通用しない特別なものではない。むしろ自分たちの会社でも実践したい、気づきをもたらしてくれるものが多い。

今日は、本書の中から特に印象に残った言葉をいくつか抜粋してみたい。

●「仕事依存症(ワーカホリック)はばかげている」
働きすぎて会社に徹夜するような働き方は勲章でもなんでもない。
ワーカホリックはヒーローではなく時間を消費するだけ。
本当のヒーローはさっさと片づける方法を見つけ出しとっくに帰宅している。

●「あなたに必要なものを作る」
製品やサービスを作るには毎日何百もの小さな決断を下さなければいけない。
そんなとき自分にとって必要なものを作り、自分自身の問題を解決するアプローチをとれば、
作り手は作るものと恋に落ちる。だから本当に気にかけられるものを作った方がいい。

●「無名であることを受け入れる」
無名であることはいいことだ。
たとえチャレンジして失敗したとしてもプライドを失うこともない。
初期の無名の状態は恥をかくことを心配せずにリスクをとれるときなのだ。

●「自分マネージャー」を雇う
自分(自身)をマネージメント出来る人を雇うべきだ。
彼らはあれやこれや指示を必要とせず、毎日の細かいチェックも要らない。
雇うべき人はゼロからプロジェクトを立ち上げてやり遂げるような人だ。

●文化はつくるものではない
即席で作った(会社の)文化は人工的でわざとらしい。
文化はつくるのものでなく自然に発達するものである。
文化とはふだんの振る舞いの副産物。

どうでしょう。
なかなか面白そうじゃないですか?

起業したばかりの人だけでなく、なんらかの開発職に就いてる人や
自分の会社が大企業病になりかけて危機感がある方にもおすすめできる本かと。

(廣島)

『小さなチーム、大きな仕事[完全版]』
著者:ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
(早川書房)